されどわが日々

NIKON Coolpix P900/SONY RX100V オート専門

小心者

 私はとてつもなく臆病なので、「あの辺はやばい奴が出没するんだよ」と聞いたらもう行きたくない。それなのに、連れ合いはそんなことをいってたらどこもいけないと豪語するタイプ。

 私は怪しい奴に強引に取り囲まれて身をすくませて鞄を探られるのはいやだし、財布をすられるのもいやだし、ケッチャップを掛けられるのもいやだし、ミサンガを売りつけられるのもいやだ。あいつはそんなことは起きないと勝手に思い込んでいる。いや、それくらい面白いぐらいに思っているのかも知れないのだね。

 そんなに行きたきゃ、ひとりで行け。いつも旅先で喧嘩になるのは概ね、そんなところから始まる。やおら盛り場で地図を広げようとするから、こんなところでそんなことをしたら観光客で迷っている奴なんだと宣伝しているようなものだ、というと、じゃ、どうすりゃいいんだと居直る。知恵がない。

 私が買い物の支払いをしてるうちに見あたらなくなってしまう。こっちが焦っているとぷいと現れて、「どこに行っていたんだ、心配するじゃないか」というとなぜ心配するのかが想像できないらしい。

 そこへ通りかかった船にぴょいと飛び乗る。どこに行くのかわかってない。どうにかなるという。どうにかならなかったらどうするのか、ということを思うことがない。

 ここをこうしたらこの先何が起きるのだろうかという想像力がないから「心配」をしない。旅をする相手としては危機感があわないのは辛い。

 私は宿泊場所をさんざん吟味して事前に確保して出かける。あいつは40年前に行き当たりばったりで大丈夫だったから心配しないという。だったらそうして出かければいい。私はホテルの中まで心配しなくちゃならん様なところに泊まりたくない。